豪ドル円の取引量急増 ≪マーケット≫

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2016年に入ってから豪ドル円の取引が増加傾向にある

 

CMEグループの2016年1月のFX取引高を見ると、
FX先物とオプションを合計した1日平均取引高(ADV)は前月比4.3%の増加でした。

 

この取引増加分は主に豪ドル円の取引急増によるものですが、
なぜ今豪ドル円の取引量が増加しているのでしょうか?

 

豪ドルといえば高金利通貨として一世を風靡し、
円との金利差からスワップ益を狙ったトレードが盛んに行われた通貨です。

 

2007年にはなんと7.25%まで金利が上がり円との金利差は6.75%もあったのです。

 

当時は個人投資家を巻き込んだ

スワップ狙いのキャリートレードが盛んに行われていました。

 

書店に置かれている多くの投資関連雑誌にも、
高金利通貨によるキャリートレードの特集が組まれていました。

 

キャリートレードは投資初心者を巻き込んで一大ブームとなり、
豪ドル円のロングポジションはどんどん積み上がっていきました。

 

 

リーマンショックを機に積み上がったロングポジションは一旦解消されるものの、
行き場を失った投資マネーは再び豪ドルに向かったため、
しばらくするとまたロングポジションが積み上げられていきます。

 

以上の状況を考慮すると、豪ドル円の取引量の増加を
キャリートレードの復活が原因とするのには少し無理がありそうです。

 

 

オーストラリアといえば広い国土に豊富な資源を有している資源国です。

 

つまり豪ドルは「高金利通貨」であると同時に「資源国通貨」でもあるわけです。

 

 

資源の中でも特に鉱産物は豊富で、
鉄鉱石、ボーキサイト、チタン、ウラン、金、石炭、オパール、原油、天然ガスなど
世界でもトップクラスの産出量を誇るものも少なくありません。

 

しかし、最近の世界経済の減速、特に中国や新興国の経済成長が鈍化してきている中で
「資源国通貨としての豪ドル円」の取引が活発化する理由もまた見つかりません。

 

 

原油価格の下落

 

2014年半ば以降、原油価格は徐々に下落を続けていき、
現在では1バレル当り30ドルを下回る価格で推移しています。

 

原油価格下落の原因は需要と供給のバランスが崩れたことにあるのですが、
今回は需要の減少と供給過多の度合いが極端であったため
下落が止まらない状況に陥っています。

 

需要と供給の面からもう少し詳しく見て行ってみましょう。

 

 

需要の面から見ると世界経済の減速が大きな要因の一つとしてあげられます。

 

世界の工場とまで言われた中国ですら、
最近ではその勢いに陰りが見えてきており
今後に目を投じても明るい材料はさほど出てきません。

 

欧州、中国で原油の使用量が大幅に減少したことは
産油国にとって大きな痛手となっています。

 

 

次に供給の面ですが、まず挙げておきたいのがシェール革命によるアメリカの台頭です。

 

原油消費国のイメージが強かったアメリカですが、
シェールオイル採掘技術の確立により
飛躍的に原油の生産量を上げることに成功しました。

 

ここ数年のシェールオイルの産出量の増加により、
ついにサウジアラビアを抜き世界トップの座に躍り出てきたわけです。

 

 

2014年には800万バレルものシェールオイルが生産されており、
採掘コストも下がっていることから採算ライン付近では
既存の産油国との競争力は十分に持っているとみてよいでしょう。

 

1975年以来原則禁止されてきた原油輸出ですが、
2015年12月18日には原油の輸出を解禁する条項を盛り込んだ法案に
オバマ大統領が署名しています。

 

積み上がった国内の在庫を解消するための措置ですが、
他の産油国にとっての新たな脅威になった事は間違いありません。

 

今まで輸出をしていなかったアメリカが市場に参入することで
原油価格の下落圧力は一層高まったとみていいでしょう。

 

このような原油価格の下落局面で顔を出してくるのが、
世界最大のカルテルと言われているOPEC(石油輸出国機構)です。

 

 

OPEC石油輸出国(13カ国)によって設立されている組織で、
生産の調整を行うことで原油価格の下落に歯止めをかける能力を有しています。

 

原油価格が不安定な際には幾度となく
減産などの生産調整を行い価格の安定化を図ってきたOPECですが、
今回は組織としてうまく機能していません。

 

 

2015年12月4日に開かれたOPEC(石油輸出国機構)総会での
減産合意も不調に終わってしまったため、
原油価格の下落圧力に歯止めをかけることができませんでした。

 

OPECはもはやカルテルとしての機能を完全に失ってしまったと言ってもいいでしょう。

 

 

 

株価の乱高下

 

2016年に入ってからは世界的規模で株価が下落し現在もその状況は改善されていません。

 

リーマンショック以降、投資家からの資金は株式市場や
原油などの商品市場に流れ込みました。

 

しかし、2014年以降の中国経済を中心とした
世界経済の減速により商品市場は下落し、資源バブルも終焉を迎えています。

 

 

リスク回避のため資源国通貨を売り、円を買う流れ
このような状況の中、新たに資源国通貨である豪ドルを買うのは
非常にリスクが伴う行為になりますし投資対象としても魅力的ではありません。

 

 

リスクを回避したい投資家たちの間で資源国通貨である豪ドルを売って、
安定通貨である円を買う動きが出たとしても不思議ではありません。

 

ここ最近の豪ドル円の取引量の急増は、
こうしたリスク回避の動きから始まっているという側面もあるのかもしれません。

 

 

 

直近の豪ドル円相場でどう儲けるか?

 

このようなリスク回避志向の相場の中で、
豪ドル円で利益を上げるためにはどのようなことを心がければいいのでしょうか。

 

オーストラリアの取り巻かれている状況を見ると基本的には豪ドル売り
円買いの方向で行くのが正攻法だと思います。

 

 

問題は売るタイミングですが、
焦らずに戻りを待って有利なポジションを建てることが有効だと思います。

 

ポイントまで引きつけることで損きりも入れやすくなりますし、
ターゲットの計算にも幅が出てくるでしょう。

 

 

直近のサポート&レジスタンス、トレンドラインなど
チャートの重要ポイントが重なるような場所に
IFO注文を入れておくことで冷静なトレードができるのではないかと思います。

 

 

 

チャートの重要ポイントのチェック

 

豪ドル円の日足チャートをチェックしてみると2月に入ってからは陰線が6本
陽線が3本と圧倒的な弱気相場になっていることがわかると思います。

 

ATR(Average True Range)の数値は今年に入ってから、
上昇傾向で2015年の8月から9月の相場に近い
非常にボラテリティの高い相場になっています。

 

 

直近の高値を探っていくと2016年1月29日の86.36円という価格が目につきます。

 

現在の価格はその高値からすでに60円以上も下落してしまっているのですが、
かなり強いレジスタンスとして意識されるポイントになっています。

 

 

さらに遡ると2015年12月31日の高値87.55円
同12月4日の90.71円がレジスタンスとして立ちはだかります。

 

この2つのラインは2015年5月14日の高値97.28円から
2016年1月20日の安値79.20円を結んだ際の50%戻し
61.8%戻しに当たるのでそれなりに意識されるポイントになるといってもいいでしょう。

 

 

今度は価格を支持するサポートがどこにあるのか探してみます。

 

 

2016年1月20日の安値79.20円は、ローソク足の形状がカラカサ(下影陽線)
なっていることからもわかるように強烈なサポートを形成していると考えられます。

 

過去を遡っても2012年の6月以降は、
今年に入るまでこの価格を下回ったことはありませんでした。

 

 

万が一この価格を下回り、陰線で引けるようなことがあれば
74.40円までサポートらしいサポートがないので注意が必要です。

 

 

今後豪ドル円が下値拡大を狙ってきたときに
最初に意識されるポイントになるので
しっかりと見極めてからトレードに臨みたいところです。

 

 

豪ドル円が下値拡大に向けて動き出した時のターゲットとして考えられるのが
74.40円付近および72.04円付近にあるサポートではないかとみています。

 

値幅としては4円から6円程度とあまり稼げるわけではありませんが、
近い目標ほど意識されやすいので
積極的に狙っていくプレイヤーも多いのではないでしょうか。

 

 

豪ドル円のチャートと日経225、USクルードオイルのチャートを比較してみると
動きがかなり似てきています。

 

リスク回避の動きが拡がる可能性もあるので、
豪ドル円でロングのポジションメイクをする時は
十分に反転を確認してからでないと危険が伴います。

 

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残念なことに豪ドル円を取り巻く環境は現時点では厳しく、
今後も大きく好転する為には時間を要するであろうことが予想されます。

 

徹底したリスク管理を出来る人以外は様子見を決め込むのも一つの手だと思います。

 

 

とにかく心がけておきたいのは中途半端な価格でポジションを作らないことです。

 

値動きにつられてポジションを構築すると
合理性のある場所にストップロスを置くことも困難になります。

 

 

ボラテリティが非常に高くなってきているので、
通常よりもポジションサイズは控えめにすることを心がけましょう。

 

 

今後もFXトレード研究会(FTK)のメンバーで、
気になる話題を取り上げていく予定です。

 

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