消費者庁がシステムネット、ビジネスシステムの詐欺まがいの手口を明らかにしました
内職から在宅ワークの時代へ
一昔前の主婦の副業の定番と言えば内職でした。
今のように女性が働ける場所も多くはなく、
子供を預ける施設なども少なかったので
手軽にできる副業として内職というものが定着していました。
昔の内職といえば、シール貼り、封筒詰め、ボタン付けなど
細かい手作業をコツコツとこなしていくというイメージがありますよね。
内職の業者が段ボールで材料を運んできて、
出来上がったら回収しに来るというなんともアナログな世界がそこにはありました。
安い単価ですが、
家にいながら出来るという理由から主婦の間では人気があったようです。
そんな古き良き時代の内職も今ではほとんど見かけなくなってしまいしました。
いくら内職の手間賃が安いと言っても、
中国などで製造すれば低賃金の労働者が大勢いるのでかなうわけがありません。
お母さんが空いた時間にコツコツと内職をしている姿を
今の子供たちはもう見ることが出来なくなってしまったのです。
しかし、灯が消えたと思われていた内職ですが、
ITの普及により新しい形態となって再び姿を現すことになります。
新しい内職は在宅ワークと呼ばれ、家に居ながらにして仕事をすることが出来るし、
成果品もインターネット回線を通じて納品することが出来ます。
かつての内職では内職業者の近所の人しか受注できませんでしたが、
在宅ワークにおいては距離の壁は撤廃され、
インターネットにつながったパソコンとスキルさえあれば
どこに住んでいても仕事が出来るようになったのです。
なんと便利な世の中になったことでしょう。
在宅ワークでは詐欺が横行している
しかし、世の中そう甘くはありませんでした。
以前記事で書いたオプザイルの例を見てもわかるように、
ネット上にはなんとかして「一般人からお金を巻き上げてやろう」という
悪知恵を働かせている輩がいっぱいいます。
お金を稼ぎたいと思っている人間ほど騙されやすいので、
こうした在宅ワークも当然のように詐欺師たちのターゲットに入っているのです。
在宅ワークの魅力は、「空き時間にできる」、「通勤する必要がない」、
「勤務時間が自由」などが挙げられますが、
気になる収入はといえばそれほど多くないというのが現状です。
人に出来ないような特殊なスキルを持っている場合は別ですが、
ワードやエクセルが使える程度のスキルでは稼げる金額には限界があります。
在宅ワークをしている人の多くは
自由な時間と場所で出来ることついては満足していますが、
報酬の面に関しては大半の人が不満に感じているはずです。
こうした不満点がわかっている以上、
詐欺師たちが取るべき行動は非常に簡単ですね。
そうです、高収入を餌にして主婦たちをおびき寄せればいいだけなのです。
高収入で条件のいい案件をネットに掲載するだけで、
報酬に不満を感じている主婦たちが尻尾を振って集まってくるわけですから
詐欺師たちからすれば笑いが止まらないわけです。
例えばこんな内容で求人があったら要注意、詐欺の可能性が高いです。
・未経験者大歓迎
・特別なスキルや資格は不要
・簡単なデータ入力のみ
・月10万円は稼げます
普通に考えるとスキルのない未経験者がデータ入力をするだけで
月10万円も稼げるわけなどないですよね。
プログラミングが出来てスマホのアプリを作ることが出来たり、
翻訳が出来たりするなどのスキルでもない限り
在宅ワークで10万円を稼ぐことはかなり難しいと思います。
24時間寝ずに入力作業でもしていれば別かもしれないですが、
現実的ではありません。
このような甘い話には裏があると思って
近づかないようにした方がいいでしょう。
消費者庁による注意喚起
消費者庁のサイトには
「消費者被害防止に向けた注意喚起等」というページがあり、
詐欺の疑いのある会社を公開し注意喚起を行っています。
怪しいなと思ったら
以下のページで注意喚起されていないかをチェックすることをお勧めします。
平成28年度の在宅ワークに関する注意喚起は既に2回行われており、
4社が注意喚起の対象となっています。
しかし、このページで公表されている会社は
まさに氷山の一角といってもいいかもしれません。
この会社以外にも似たような謳い文句で誘い込んでいる会社はまだまだ多いはずです。
消費者庁が公表した詐欺まがいの手口は
詐欺会社を見極めるための参考になるので
在宅ワークに興味のある人は熟読しておいたほうがいいでしょう。
詐欺まがいの手口
直近では11月18日付けで
「株式会社システムネット」と「株式会社ビジネスシステム」の2社が
注意喚起の対象となっています。
全国の消費生活センターには先月末までの11ヶ月の間に74件の相談があり、
内34件で被害が出ている模様です。
被害の総額は3600万円なので、一人当たり100万円を超える金額となっています。
2社の手口自体は非常にシンプルで以下のような流れとなっています
1.ウェブサイトで勧誘
2社はそれぞれ、インターネット上に求人内容を紹介するための
ウェブサイトを開設していました。
■システムネット
■ビジネスシステム
サイトの作りはキレイで見やすく、
女性が閲覧することを意識して作られていることがわかります。
最初にサイトを訪れた時に不安感を与えないためにも、
最近の詐欺サイトはきちんと専門業者に作らせているモノが
増えてきているので注意が必要ですね。
しかし、いくらキレイに作られていても
サイトに踊っている謳い文句に胡散臭さが漂っていることは隠しきれません。
一度でも騙されたことのある人はそっとページを閉じてしまう事でしょう。
「WEBサイトのキャッチフレーズや文章の作成が主で、
テキストをスマートフォンやPCで納品するだけ!」
「スマホで受注、スマホで納品!いつでもどこでもお仕事可能!」
「報酬が日払いでも可能となるため、
働いたその日からすぐに入金されます。
必要な時にお仕事ができます。」
「初心者でも可能で、年齢や資格など不問です!」
しかし、この謳い文句を疑わない人の目には
限りなく魅力的な在宅ワークに映っているのかもしれません。
さらに、この2社のサイトには非常にわかりやすい場所に
エントリーフォームが用意されているので、
気が付いた時には入力して送信してしまったなんて人もいるのかもしれません。
人間心理を巧みに利用したサイト作りになっていることには
逆の意味で感心してしまいます。
2.研修を通じて、消費者を稼げる気にさせる
申し込み者には研修と称して課題を与えます。
その課題の内容を評価し、
申し込み者の能力を褒めることでその気にさせていきます。
自分には能力があり簡単に稼げると思いこませることで、
この仕事をやりたいという気持ちに火をつけていくのです。
3.契約時になって突然、高額な初期費用を請求
契約する時になってはじめて、
この仕事にはホームページ開設が必要なことや
初期費用が50万円かかることなどを告げてきます。
申込者が迷っていると、すぐに100万円くらい稼げる、
返金保証もあるので安心などと畳みかけて契約を迫ります。
4.バージョンアップの名目で、高額な追加費用を請求
初期費用を支払った申し込み者に対して
サーバー強化やクレジット決済機能追加などの名目で
さらに追加費用を請求してきます。
追加費用は数百万円と高額で、払わない場合は「職場に請求する」、
「裁判を起こす」、「ネットに個人情報を流す」などと脅しをかけてきます。
被害者にしてみれば簡単な気持ちで在宅ワークをやるつもりだけだったのに、
こんなに大事になってしまうなどとは想像もつかなかったことでしょう。
2社のサイトの共通点
今回消費者庁に公表された2社は
サイト上に記載されている住所には存在しておらず、
法人登記もされていないようです。
2社の使用した売買契約書などの書類や
作成されたホームページがほぼ同じことから、
この2社の活動には同じ人物が関与している可能性が高いと思われます。
2社のサイトを見比べてみても類似点が多いことに気付きます。
例えばどちらも一番下に問い合わせ先と
エントリーフォームへのリンクが設置されています。
■システムネット
■ビジネスシステム
エントリーフォームへのリンクをクリックすると
現れるのは全く同じ入力項目を持ったエントリーフォーム。
さらにFAQを比べてみましょう。
■システムネット
■ビジネスシステム
驚くことに質問から回答まで全く同じ内容です。
ここまで類似箇所が多い単なる偶然では
片づけられないような気がしますね。
このような在宅ワークを利用した詐欺まがいのテンプレートのようなものが
流通しているのかもしれないですね。
こうした詐欺まがいの行為を働いている業者は足が付きやすいので
長く続けるということがありませんが、
ほとぼりが冷めた時点でまた新たなサイトを立ち上げるケースが非常に多いのです。
今後の為にも、この2社のサイトの構成はよく目に焼き付けておいた方が良さそうですね。
詐欺まがいの被害に逢わないために
出来ればこうした詐欺まがいの被害者にはなりたくないものですね。
消費者庁では今回取り上げたような詐欺被害を防ぐために
以下のようなアドバイスを行っています。
・契約時や契約後に突然、多額のお金の支払を求める事業者には要注意。
・将来の利益を保証したり返金保証をうたったりして、
多額のお金を支払わせようとする事業者には要注意。
・お金を借りさせてその支払いをさせようとする事業者には要注意。
・職業、年収、利用目的等を偽って金融機関からお金を借りることは違法。
消費者庁のアドバイスはどれも非常に大切なことなので
覚えておく価値はあると思います。
しかし、被害に逢わないために一番重要なのは
詐欺まがいの業者には接触しないことです。
接触さえしなければお金をだまし取られることも、脅されることもありませんからね。
そのために効果的なのは少しでも怪しいと思ったら、
すぐにその会社名を検索エンジンで検索することです。
すでに広がっている詐欺業者の場合はどこかのサイトがヒットするはずです。
比較的新しい詐欺業者の場合には
検索エンジンにはヒットしない可能性が高いので別の方法を使用します。
速報性ということを考えるとツイッターで検索をかけることが
最も効果的なのではないかと思います。
ツイッターは拡散力が高く、少しでも怪しい行為を行う業者がいると
注意喚起のためにみんなが一斉に情報を拡散してくれます。
こうした情報を集め総合的に判断し、すこしでも怪しいと感じた場合には
どんなに魅力的な条件を提示していたとしても距離を置くべきです。
見知らぬサイトに個人情報を入力する前には必ず情報収集で安全を確認しましょう。
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