移動平均線からの乖離を示すエンベロープの利用方法
エンベロープ(Envelope)とは
エンベロープは、移動平均線から上下に一定幅に乖離させたラインで、
価格が移動平均線から、どの程度離れたか判断するインジケーターです。
移動平均線からの乖離という意味では、ボリンジャーバンドが有名です。
ボリンジャーについては、こちらでもまとめていますので、
よかったらご覧ください。
ボリンジャーバンドの各ラインは、”標準偏差”を使って算出されたもので、
価格変動が大きくなると、バンドの幅が広がったり、
価格変動が小さくなると、バンドの幅が縮まったりしますが、
エンベロープは単純に中心の移動平均線に対して平行に引かれたものとなります。
計算式はとてもシンプルで、以下のようになっています。
アップバンド = N本移動平均線 × (1+M%)
ローバンド = N本移動平均線 × (1-M%)
計算式の通りですが、
”移動平均線の上下に一定の割合だけずらしたラインを表示してさせたもの”
がエンベロープということになります。
なお、調整可能なパラメータは、計算式にあるNとMの2つです。
Nは、移動平均線の平均する期間で、
Mは、上下にずらす乖離率です。
このパラメーターに標準値はなく、トレーダーがそれぞれ自由に設定します。
これらを調整することによって、エンベロープの動き方を大きく変えることができます。
まず“期間”については、
大きくすればするほど、移動平均線の動きがなだらかになり、
より大きな流れが見えるようになります。
同時に移動平均線と値の乖離率が大きくなりやすくなります。
なお、“乖離率”というのは、
大きくすればするほど、値幅が大きくなり、レートが触れにくくなり、
小さくすればするほど、値幅が小さくなり、頻繁にレートに接触します。
“期間”と“乖離率”の兼ね合いを考慮し、
自身のトレード手法に合わせて設定していく必要があります。
また、移動平均線が基になるということで、
基本は「単純移動平均線」で設定するのですが、
「指数平滑移動平均線(EMA)」などでも表示させることが可能です。
エンベロープの基本はリバウンド狙いの逆張りトレード
相場は、移動平均線を上抜いたり、下抜いたりということを繰り返します。
レートが移動平均線を大きく抜けても、また必ず移動平均線と接することになるわけで、
移動平均線に戻ってこない相場は存在しません。
エンベロープはその反転の目安を示そうとするもので、
その性質を基に、”逆張り”トレードを行っていく
というのがエンベロープの基本になります。
具体的な手法としては、ローソク足がエンベロープをはみ出たところで、
逆張りエントリーを行っていくという方法になります。
上の画像では、ドル円の1時間足で、
エンベロープのパラメータは期間は25本の乖離率は0.2%に設定しています。
ローバンド(下のライン)をはみ出したところで「買い」エントリー
アップバンド(上のライン)をはみ出したところで「売り」エントリー
をすることで、見事に反転を捉えることができています。
利益確定は、移動平均線に触れたところが基本になるかと思います。
このような手法はレンジ相場で有効になりますが、
大きなトレンドが発生した際には通用しませんので、
しっかりとした「損切り」と「資金管理」が大変重要になります。
エントリーフィルターとしてヒゲをサインに
エンベロープを活用した逆張りトレードの確度を上げるため、
ローソク足の「ヒゲ」をサインとするのも一つの目安になります。
上記の画像の囲った部分がエンベロープに触れたタイミングで
先程説明したエントリーポイントです。
①③④⑦のポイントでは、長めのヒゲを確認してエントリーしたことで、
利益を得ることができており、
②⑤⑥のポイントでは、ヒゲの確認ができないことでエントリーを見送ったことで、
うまく相場の逆行を避けることができています。
バンドのブレイクアウトからのトレンドフォロー
冒頭でも解説した通り、
エンベロープはMT4では”トレンド系”のインジケーターに振り分けられています。
エンベロープは逆張り指標として活用されることが一般的ですが、
全く逆の方法でトレンドフォローを行っていくことも可能です。
こちらは逆張り手法とは真逆のエントリーとなり、
アップバンド(上のライン)上抜けで「買い」エントリー
ローバンド(下のライン)下抜けで「売り」エントリー
を行っていく手法になります。
①のエントリーポイントでは、
ローバンド下抜けでローソク足が確定したことで、
売りエントリーを行いましたが、
損切りルールをバンドタッチローソク足確定としていることで、
微損とすることができています。(②部分)
③のポイントでは一旦はアップバンドを上抜いてはいますが、
ヒゲを付けて戻しているため、買いエントリーを見送ることができ、
逆行を避けることができました。
逆を言うとここでヒゲを確認し、逆張りエントリーを仕掛けることも可能ですね。
④のポイントで、アップバンドを上抜いてローソク足が確定したので、
買いエントリーをすることで、トレンドフォローができています。
損切りラインはレートがバンドへ戻ってきたところでのローソク足確定となるため、
損切りは小さく、利益は伸ばしていくことが可能です。
逆張り手法とは全く逆のエントリーとなるため、
レンジとトレンドの見極めが必要になりますが、
こちらでは損切り幅を狭く設定することができるので、
リスクリワードを高くすることが可能です。
相場の流れがわかってこそ活きるエンベロープ
エンベロープを使いこなしていくためには、
大きな相場の流れを見て、相場の局面を見極めることが必要となります。
相場というのは、「レンジ相場」と「トレンド相場」が繰り返されていきます。
今がどちらなのかという環境認識をしておくことで、
”逆張り”でも”順張り”でもどちらの手法でも利益を取ることが可能になります。
そして、読みが外れた際には、しっかりと損切りを行い、
トータルでの利益を上げていくことが重要になります。
トレードする通貨ペアや時間足の過去検証をしっかりと行い、
パラメーターの設定などそれぞれに適した、
優位性の高いトレード手法を模索してみてください。
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