EAのロジック作成のアイデアを探る
プログラミングよりも重要な売買ロジック
MT4によるFXトレードはチャートを見ながら
自分で注文を入れることも出来ますし、
EAを利用して自動売買することも出来ます。
どちらを利用するのかは個人の考え方によって違いますが、
忙しくてトレード時間を十分に取れない人にとっては、
パソコンから離れていても自動的にトレードしてくれるEAの方が
魅力的に映ることは間違いないでしょう。
MT4が登場したばかりの頃は良質なEAも少なかったため、
まともな自動売買をしようと思ったら
自分でMQL(EAのプログラミング言語)を覚えて
プログラミングするしかありませんでした。
しかし、MT4による自動売買が普及してくるにつれ、
巷には質のいいEAがちらほらと登場してくるようになります。
特にアジア時間早朝のスキャルピングEAなどのように、
動かせば誰でも簡単に儲けることが出来るようなEAが登場してからは、
裁量トレードから自動売買にシフトするトレーダーが
飛躍的に増えてきたように思います。
アジア時間早朝のスキャルピングEAは
ブローカーに対策されるまでは有効だったので、
お世話になった人も多いのではないでしょうか。
また、ここ数年でEAを販売する業者も次第に増えてきており、
多くの業者がリアルタイムでフォワードテストを公開しているので
EA選びの精度は飛躍的にアップしました。
こうした業者の販売サイトを覗いてみると長期間のフォワードテストでも
素晴らしい成績をたたき出しているEAも数多くあるので、
ある程度相場に対する知識があれば変なEAを掴まされることもないでしょう。
良質なEAを入手するのは昔ほど困難な作業ではなくなりましたが、
それでもロジックの公開されていない
いわゆるブラックボックス的なシステムに
自分の資産を任せるのは抵抗があるという人も多いでしょう。
そういう人は自分でロジックを考えてEAを作成することをお勧めします。
自分のロジックを反映したEAを作成するということは
実はそれほど難しいことではありません。
もちろん、一からすべてを自分でやろうとすると大変な労力が必要ですし、
学ばなくてはいけないことが多いので一朝一夕に事を運ぶことは難しいでしょう。
しかし、最近のEAを取り巻く環境は10年前
いや、5年前と比べてもかなり進歩しています。
一般の人がEAを作成する際に一番大きな壁として立ちはだかるのが
プログラミングの問題です。
今でこそ小中学生対象のプログラミング講座などが盛んに行われていますが、
現在EAで自動売買をしている人の中で
学生時代にプログラミングに関する専門的な教育を受けた人は
そう多くはないはずです。
理系で数学や物理が得意だったという人は違うかもしれませんが、
多くの人はプログラミングという言葉を聞いただけで
面倒くさくなってしまうのではないかと思います。
しかし、最近では自分のロジックをEA化するのに
プログラミングの知識は必須項目ではなくなってきています。
なぜかというと、EA作成のプログラミングを代行してくれるサービスや
プログラミングをしなくてもEAを作成してくれるツールが充実してきているからです。
こうしたサービスやツールの充実により、
個人トレーダーでも簡単にEAを作成することが出来るようになってきたわけです。
EA作成のための壁はプログラミングだけではない
プログラミングが必要ないのなら、
「EA作成なんて簡単にできるじゃん」と思う人も多いでしょう。
EAを作成するという話だけなら確かにそうです。
サービスやツールに相応の対価を支払えば、
簡単に自分のロジック通りに売買するEAを入手することが出来ることでしょう。
しかし、稼げるEAとなるとどうでしょうか?
おそらく簡単に作成することは出来ないはずです。
私たちトレーダーの目的は為替相場から利益をあげることなので、
稼げないEAなんて作っても意味がないのです。
そうなってくるとEA作成で一番重要なことが
売買ロジックであるということに気付くはずです。
EA開発者たちにとってもそれは同じで
売買ロジックをどうするかについて常に頭を悩ませているのです。
その証拠に、EA開発者ではないトレーダーが、
裁量トレードのロジックをEA化しても、
バックテストの段階で現実を突きつけられることになります。
EA作成を目指す人はプログラミングのこと以上に、
売買ロジックをどうするかについて気にかけていた方がいいと思います。
では、売買ロジックのアイデアはどこから得たらいいのでしょうか?
一番手っ取り早いのはテクニカル分析をチャート上に表示させて、
どのような形の時に上昇あるいは下落していくのか
というポイントを探ることです。
過去チャートまでさかのぼっていくことで
売買ロジックのヒントになるような
特徴的なパターンを見つけることが出来るかもしれません。
裁量トレードで短期のスキャルピング手法を使用している人は、
チャート上にRSIやストキャスティクスなどの
オシレーター系のインディケーターを表示していると思います。
実際のチャートの動きを見ながら売られすぎ、
買われすぎを探っているわけですが、
この時に同時にオシレーター以外のインディケーターを表示しておくと
ロジックのアイデアが浮かびやすくなります。
中には自分でロジックを見つけようと努力したけれど
いいロジックが見つからなかったという人もいるかもしれません。
こうした場合は、先人たちの知恵を拝借させていただくのも一つの方法です。
インターネットを検索すると様々な手法がヒットするので、
その中から気になったものをピックアップして検証していくのです。
素性が良い手法ならそのままでは機能しなくても、
ちょっとした改良を加えれば使えるようになる可能性があります。
以下にさらに実践的な方法を紹介していきます。
MQL5.COMMUNITYは宝の山
MT4やMT5の開発元ある
MetaQuotes Software Corp.が運営している
メタトレーダーのコミュニティサイトが
MQL5.communityです。
フォーラムなどユーザー同士でコミュニケーションを図ることが出来るので、
周囲にメタトレーダーユーザーがいなくて
情報が欠如している人にとっては非常に有用なサイトだと思います。
このサイトには様々なセクションがあるのですが、
EAのロジックを考える時にもっとも参考になりそうなのは
「MQL4 / MQL5コードベース」というセクションです。
MQL4 Source Codes of Expert Advisors for MetaTrader 4
MQL4 / MQL5コードベースでは、エキスパートアドバイザー、
インディケーター、スクリプト、ライブラリなどの
プログラムが多数公開されており、
ソースコードをダウンロードすることも可能になっています。
プログラムごとに簡単なフォーラムが設定されていて、
開発者とユーザーが意見を交換することが出来るのが特徴の一つです。
例として「Brandy」というEAのページを見てみましょう。
Brandy – expert for MetaTrader 4
EAの説明のところにロジックについて記述している部分があり、
どのような場合にエントリーするのかが簡単に説明されています。
Brandyは、テクニカル分析を元にトレードするEAで
長期・短期の2本の移動平均線の傾きを利用しています。
長期の移動平均線の傾きが上向きになったときにロングでエントリーし、
短期の移動平均線の傾きが下向きになったらポジションをクローズします。
逆に長期の移動平均線の傾きが下向きになったときはショートでエントリーし、
短期の移動平均線の傾きが上向きになったらポジションをクローズします。
非常にシンプルな売買戦略ですが、
トレンドに逆らわない順張り系のEA作成を目指している人にとっては
参考になる部分も多いことでしょう。
このようなEAはトレンドが発生しやすい
ポンド円などで使うと良い結果が出るケースが多いので、
時間足を含めて様々なケースで検証してみるとこをお勧めします。
現在、MQL5.communityで公開されているEA(MT4用)のソースコードは
800近くあるので、ロジックのヒント探しにはもってこいのサイトです。
私も過去にこのサイトにアップロードされているソースコードをヒントに
EAを作成した経験があるのですが、
探せば完成度の高いソースコードも沢山あるのでぜひ活用してみてください。
EA販売サイトに隠されたヒント
EA販売サイトで販売されているEAは、詳細なロジックの表示はないものの
使用しているテクニカル分析やエントリーする時間帯などの
簡単な説明がしてあります。
この説明文はEA開発者が作成しているのですが、
多くの開発者は簡単にロジックがバレないように
オブラートに包んだ表現をしたり、
使用しているテクニカル分析が書かれていないケースが多いです。
しかし、ごく稀に馬鹿正直にロジックを
説明文に書いてしまっているEA開発者がいます。
以前、某販売サイトで人気だったあるEAの開発者は、
利用しているテクニカル分析とエントリータイミングを
EAの説明欄に書いていました。
それを見た多くのプログラマーたちは、
そのロジックを使って類似のEAを簡単に作成することが出来たのです。
また、安心して購入できるように
あえてロジックを公開している開発者もごく稀にいます。
こうしたラッキーなEAに巡り合うためにも、
EA販売サイトを一通りチェックしておくことをおすすめします。
最終手段!!ロジックはツール任せ
EA作成ツールには様々なものがあり、
プログラミングの知識なしで、かなり高度なEAを作成することが出来ます。
ですが、これらの作成ツールでEAを作る時でも
ロジックだけは自前で用意しておく必要がありました。
しかし、時代は変わりました。
なんと簡単な設定で、複数の通貨および複数の時間枠、
カスタムインジケーター、タイムフィルター、資金管理オプションを使用して
EAを自動で設計してくれるツールが現れたのです。
このツールにはあらかじめロジックが複数用意されているのですが、
これらを組み合わせることで自分で考えなくてもEAを作成することが出来ます。
ただ、テクニカル分析の組み合わせを総当たりで検証していくので、
EA作成にかかる時間は数日以上に及ぶこともあります。
CPUのパフォーマンスの高いパソコンを使うことはもちろんのこと、
熱対策にも十分に気を使わないと
途中で熱暴走を起こしたりするので注意が必要です。
また、組み合わせるロジックの数を増やしすぎると
カーブフィッティングされたEAが生み出されやすくなります。
極端にトレード回数が少なかったり、
期間ごとでトレード数にバラツキがあったりする場合は
カーブフィッティングを疑った方がいいかもしれません。
このツールで作成されたEAはmql4形式のファイルで出力されるので
ソースコードを見ることが出来、
さらに改良したいときにも対応することが出来ます。
有料のEAのパフォーマンスに満足できないトレーダーでも、
このように自分でEAを作成する方法がいくつもあります。
もちろん費用はかかってしまうのですが、
必要経費と考えれば安いのではないかと思います。
プログラミングが出来ないことで
EA作成をあきらめるという時代はもう終わったのです。
近年は投資情報商材でもEAの販売が増えてきていますが
ロジックが非公開のものや、フォワードテストを開示せずに
販売している商材業者も少なくありません。
冒頭でもお話ししたように
このようなブラックボックス的なシステムに
自分の資産を任せるのは如何なものかと思います。
ですので、EAでの運用を検討している方は
今回取り上げた「EAの自作」という手段を
選択肢の一つに加えてみてはどうでしょうか。
引き続き、FXトレード研究会(FTK)で取り上げてほしい
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