FXの納税について(国内・海外FXそれぞれの税金)
平成27年分の確定申告期限は3月15日
以外にもFXにおける納税義務について、
正確に理解されている方が少ないようなので
参考までに納税について取り上げてみました。
申告・納税の期限は、個人事業者の消費税及び地方消費税は3月31日まで、
所得税及び復興特別所得税・贈与税は3月15日までとなっています。
このうち私たちに関係が深いのは所得税ですので
申告の期限はすでに過ぎてしまっています。
該当者様はちゃんと納税をお済ましになられましたか?
会社に勤めている方にはなあまり馴染みのない確定申告ですが、
該当するのではないかと心配な方は国税庁のサイトにある
「申告書の提出が必要な方:平成27年分 確定申告特集」というページを
一読して見ることをお勧めします。
期日こそ過ぎてしまいましたが、完全に手遅れというわけではありません。
給与所得であっても以下のケースに当てはまる場合には確定申告が必要になります。
《給与所得がある方で確定申告が必要な場合》
・平成27年分の給与所得が2,000万円を超える
・給与を一箇所からもらっており、給与以外の所得の合計が20万円を超える
・給与を二箇所以上からもらっており、
所得のうち年末調整されなかった給与と各種所得の合計が20万円を超える
FXで上げた利益にも確定申告が必要
FXトレーダーにとって気になるのは
トレードで儲けた利益が課税の対象になるのかどうかです。
FX取引での損益がプラスになっている人にとっては非常に気になる部分ですね。
実はFXで儲けた利益は原則として課税対象になっており、
期限内に確定申告をする必要があります。
課税対象になる利益は「売買益」と「スワップポイント」の決済確定分になります。
FXの利益は「先物取引に係る雑所得等の課税の特例
(租税特別措置法第41条の14)」の適用対象で申告分離課税の対象となっています。
税率は、他の所得額にかかわらず
一律20%(所得税15%+住民税5%)という割合が乗じられることになります。
期限内に確定申告ができなかった方は速やかに期限後申告を
仕事が忙しくて会場に行く時間を取れなかったり、
確定申告自体を忘れてしまったりした場合の対処法をご案内しておきます。
申告漏れ発覚後に速やかに確定申告をすれば、
申告期限が過ぎていたとしても
税務署の職員が自宅に乗り込んでくるような事態は避けられるようです。
申告期限を過ぎてから確定申告をした場合は、期限後申告として取り扱われます。
期限後申告をした場合には通常の申告で納める税金以外にも
無申告加算税が課せられるので注意が必要です。
無申告加算税は、納付すべき税金に対し50万円までが5%、
50万円を超える部分に関しては20%を乗じた金額となります。
納税額が多い人の場合にはかなりの負担になってしまいますね。
しかし、税金をきちんと払おうという意思のある人が
うっかりミスで期限を過ぎてしまった場合のために救済措置が用意されています。
自主的かつ税務署の調査を受ける前に期限後申告をすれば、
無申告加算税は納付すべき税金に対して5%を乗じた金額に減免されます。
また、申告期限を過ぎてから1ヶ月以内に期限後申告した場合には
無申告加算税は加算されません。
国民としての義務として、また余計な出費をしないためにも
確定申告は期限内に行うことが原則になります。
万が一期限を過ぎてしまった場合には
遅くても1ヶ月以内には期限後申告をするようにしましょう。
未決済のポジションの含み益は課税対象になってしまうのか?
年内に決済せずに含み益として年を越してしまった場合は
課税の対象になるのでしょうか?
嬉しいことに個人のトレーダーの場合、
決済していない含み益中のポジションに対しては
課税対象にはならないことになっています。
正月に含み益を見ながら美味しいお酒を飲んでいた方、
年内に確定された利益に対してのみ課税されるのでご安心ください。
年末は課税対象になるかならないかのボーダーラインになる時期です。
含み益、含み損を決済するかどうかによって翌年の課税額に影響が出てきます。
年末にポジション操作を行う場合は
課税対象になるかどうかも考えた上で行った方が良いでしょう。
FXで利益が出ても確定申告をしなくて良い場合
FXで利益が出た場合は必ず確定申告をしなければならないわけではありません。
給与の年間収入金額が2,000万円以下の給与所得者で、
年間のFXに関する合計利益が20万円以下の場合は確定申告が不要になります。
ただし、FX以外での所得状況によっては
確定申告をしなくてはならない場合もありますので
心当たりのある方は事前に税務署に確認しておいた方がよいでしょう。
トレードのためのパソコンは必要経費として認められるのか?
FXトレードをするためには必要なものがたくさんあります。
電子取引が当たり前になった現在、
パソコン等がなくてはFX取引をすることは出来ません。
また、市況の情報を得るためには
経済新聞や雑誌などの情報源の購入が必要になってきます。
こうしたFX取引の為にかかった費用は必要経費として認められるのでしょうか?
前述したものに関しては必要経費として認められることが多いようです。
ただし、用途がFX取引のためのものであることが最低条件となるので、
兼用しているものに関しては注意が必要です。
例えばFX専用で使っているパソコンと趣味などの個人的用途と
兼用で使っているパソコンではFX用途で使用する割合が違っています。
そのためどれだけFX用途として使っているのか
経費を按分することが必要になってきます。
当然パソコンの使用割合は通信費などにも影響してきますので、
税務署に質問された場合に理路整然と説明できる
整合性のとれた数字にすることが大切です。
FXで損をした場合には翌年の為にも確定申告をしておきましょう
残念ながらFXで損失を出してしまった場合は、
FXに関する合計利益が20万円以下になるので確定申告は不要になります。
利益がなかった上に課税までされたら踏んだり蹴ったりですよね。
しかし、来年以降もFX取引をするつもりなら
損失分でも確定申告しておいた方がメリットも大きくなります。
なぜかというと損失分を確定申告することにより、
翌年以降3年間に渡り繰越控除を行うことが可能になるからです。
簡単にいうとその年に発生した損失を翌年以降3年間にわたり、
利益と相殺することが出来てしまうわけです。
その年の相場状況や自分のトレード手法との兼ね合いで、
年ごとに損益はばらばらであるケースが多いと思いますが、
その辺の事情が考慮されているというのは嬉しいですね。
海外のFXブローカーで取引した場合の税金
国内のFXブローカーのレバレッジに不満を感じて
海外のFXブローカーでトレードしている方も多いと思います。
また、スキャルピングなどトレード回数が多い手法を採用している方にとっては、
ピップバックシステムが発達している海外のトレード環境は
魅力的に映っていることでしょう。
日本国内のFXブローカーにはない魅力的な海外ブローカーですが、
税金に関しては国内のFXブローカーを使う場合と比較すると
不利になってしまうケースもあるようです。
日本国内のFXブローカーを使って利益を出した場合の税金は、
申告分離課税になるので利益の多少に関わらず一律20%となっています。
しかし、海外のブローカーで利益を出した場合の税金は申告分離課税ではなく、
総合課税(雑所得扱い)になってしまいます。
というのも国税庁は金融庁の認可を受けていない海外ブローカーでの取引については、
金融商品取引法に規定する
店頭デリバティブ取引に該当しないという立場をとっているからです。
この結果以下のような6段階の税率を持つ累進課税が課せられることになります。
課税所得金額 税率
195万円以下 15%
195万円~330万円 20%
330万円~695万円 30%
695万円~900万円 33%
900万円~1800万円 43%
1800万円以上 50%
利益が大きくなればなるほど税金も増えていく仕組みとはいえ、
1800万円以上で50%という税率を見てしまうと利益が少ない人以外は
海外ブローカーを利用するメリットはあまり感じられないというのが正直なところです。
他にも税制上で海外ブローカーが不利な点があります。
国内ブローカーでは損失の繰り越し控除が認められており、
その年の利益と前年の損失を相殺できるというメリットがあるのですが、
海外ブローカーではそのメリットを享受することが出来ません。
税制上の問題や証拠金が常に為替リスクにさらされていることなども考慮すると、
海外ブローカーを利用してのFX取引はかなり難易度が高いと言わざるを得ません。
脱税をすると高い税率の重加算税が…
納税は国民の義務であることは誰もが知っていることなのですが、
意図的に税金を払わない行為、いわゆる脱税をしてしまう人が後を絶ちません。
毎年のようにFX取引で得た利益を申告せずに
逮捕されている人のニュースを見かけますが、
その後に訪れる悲劇のことを考えると
脱税はまったくお勧めできるものではありません。
悪質な場合には逮捕されることもあり、会社員なら職を失うし、
経営者なら会社の信用が失われてしまいます。
社会的地位の失墜の後に重くのしかかるのは延滞税や重加算税などの懲罰的な税です。
遅延税では年率14.6%とサラ金並みの高金利が課せられています。
重加算税はさらに重く35%の税率がかかってきます。
非常に恐ろしい世界ですね。
海外のブローカーを使っていれば税金を払わなくても
バレないのではないかと思ったりもしてしまいますが、この考え方は非常に危険です。
海外から国内への送金の履歴は銀行にしっかりと残っています。
さらに送金額が200万円以上の場合には
税務署に自動的に報告がいくことになっています。
つまり税務署は常に海外からの送金を把握しているわけですね。
税務署からの電話にビクビクしながら過ごすよりも、
期限内に確定申告を済ましてしまう方が得策です。
住民基本台帳カード又は個人番号カードなどの電子証明書を持っている方は、
e-taxを使うことで税務署に出向くことなく簡単に申告をすることが出来ます。
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