トレンドの転換点を図るのに有効な手段パラボリックSAR
パラボリックSAR(Parabolic SAR)とは
パラボリックSARは、米国のアナリストJohn Welles Wilder.Jr(J.W.ワイルダー)氏が考案した、
トレンド系のテクニカル指標です。
J.W.ワイルダー氏と言えば、他にもRSIやADXなどを考案した
著名なアナリストです
以下にRSIやADXについて取り上げた記事がありますので、
よかったら確認してみてください。
話を戻しまして、Parabolic は、「放物線」という意味で、
SARは、”Stop And Reverse”の略で、「停止と反転」になります。
チャートの価格の上下に、ドット(点)を放物線状に描画するインジケーターです。
上昇トレンドの時は、価格の下に表示され、
下降トレンドの時は、価格の上に表示されます。
このため、パラボリックSARの表示されている位置を見れば、
一目でトレンドの状況を把握することができます。
また、パラボリックSARを抜けると、トレンドが反転することで、
損切りの水準として検討したり、トレンド転換を探るのに
活躍するインジケーターです。
パラボリックSARの計算式
パラボリックSARの算出方法は次の通りです。
少しややこしいので、ご興味がある方のみ読み進めてみてください。
トレンド転換の最初の足のSAR
”転換前の最高値(下落トレンドに転じた場合)
または、最安値(上昇トレンドに転じた場合)”
画像のように、
上昇トレンドから下落トレンドに転じた際は、転換前の最高値となり、
下降トレンドから上昇トレンドに転じた際は、転換前の最安値となります。
トレンド転換後、2本目以降のSAR
”前の足のSAR+AF×(EP-前の足のSAR) ”
「AF」は「加速因子」と呼ばれるものです。
加速因子とは、初期値、増加分、最大値を設定し、
初期値から最大値になるまで、増加分を足していくというものです。
パラボリックSARの基本的な設定値は、以下の通りです。
初期値 = 0.02
増加分 = 0.02
最大値 = 0.2
設定値に基づいたAFは以下の通り
スタート : 0.02(初期値)
2つ目の数値 : 0.02(前の値)+0.02(増加分)= 0.04
3つ目の数値 : 0.04(前の値)+0.02(増加分)= 0.06
4つ目の数値 : 0.06(前の値)+0.02(増加分)= 0.08
5つ目の数値 : 0.08(前の値)+0.02(増加分)= 0.10
6つ目の数値 : 0.10(前の値)+0.02(増加分)= 0.12
7つ目の数値 : 0.12(前の値)+0.02(増加分)= 0.14
8つ目の数値 : 0.14(前の値)+0.02(増加分)= 0.16
9つ目の数値 : 0.16(前の値)+0.02(増加分)= 0.18
10つ目の数値 : 0.18(前の値)+0.02(増加分)= 0.2
以降~0.2
「EP」は、「極大値」と呼ばれるもので、
SARが上昇している時は、その期間の最高値、
SARが下降している時は、その期間の最安値となります。
つまり、パラボリックSARは、AFが増加するため、
上昇時においては、高値を更新しなくても、位置は上昇し、
さらに高値を更新すると、高値更新分も併せて、
より大きく上昇することになります。
このため、トレンド中のSARの数値は、
増加することはあっても、低下することはありません。
AFの増加により、トレンドが続くにつれ、
SARの上昇の加速割合が増えていく計算になり、
トレンドを追いかけていくようになります。
※下降時においては逆になります。
パラボリックSARを活用した永久ドテントレード法
パラボリックSARは、一方のサインが出ると同時にもう一方のサインが出続ける、
いわゆるドテンのサインを出し続けるタイプのインジケーターです。
パラボリックSARの特徴を活用したトレードは以下のようになります。
・パラボリックSARにタッチでエントリー
・パラボリックSARにタッチで決済
これを単純に行うと、ドテンを永遠と続けていくことになります。
パラボリックSARは、
長期的なトレンド相場において有効なものと言えますが、
レンジ相場で価格が上下すると、だましが頻発し有効ではありません。
このように永遠とサインを出し続けるインジケーターのため、
機械的にこのインジケーターの通りに売買をしてしまうと、
相場の7割はレンジ相場と言われているので、負けてしまいます。
そこで、他のインジケーターと併用するということが
推奨されています。
考案者J.W.ワイルダー氏の手法は、ADXとの併用
パラボリックを考案したJ.W.ワイルダー氏は、ADXを併用し、
トレンドが確認出来る局面でパラボリックを利用するのがより有効である
と述べています。
ADXについての特徴などはこちらにまとめていますので、
あわせてお読みいただければと思います。
このように、別の指標をフィルターとして検討する際、
同じ考案者の指標を使うというというのは、
相性はいいのかもしれませんね。
他にも、大きな時間軸のチャートと合わせて、
大きなトレンドの方向を確認したり、
直近の高値、安値などをチェックするなどして、
トレンドとボラティリティを確認しながら使用する等の判断材料も併せて、
精度を上げていく必要性があります。
トレンドの状況が把握しやすいインジケーターではありますが、
これ単体でトレードには利用はせずに、
他のインジケーターとの併用や他の判断基準を追加しながら
様々な観点から検証を行い、より優位性の高いポイントを
探していってみてください。
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