「リスク回避の円買い」はどういった時に起こる?


 

ウクライナ情勢により注目される「リスク回避の円買い」

 

こんにちは。

 

FTK管理人の君川です。

 

 

ロシアによるウクライナ侵攻が世界に緊張感を与える昨今の情勢ですが、
これにより、世界の金融市場にも大きな影響が発生しています。

 

経済制裁により世界経済から締め出されたロシアの基軸通貨であるルーブルは、
侵攻前の価値の半分にまで下落していますが、それ以外にも、
ユーロ・ポンドなどの通貨に関しても、ウクライナ侵攻から
ユーロ安・ポンド安に向かっています。

 

そのため、リスク時に買われる通貨である円と組み合わせた
ユーロ円などの通貨では下落をしています。

 

 

 

 

一方、ドル円に関してはウクライナ侵攻開始を境にドル安と円安を
繰り返す激しいレンジ相場となっています。

 

 

 

 

そして、為替市場のみならず、株式市場についても、ウクライナ侵攻を境に
株価指数が大きく下落しています。

 

こちらはアメリカの株価指数であるS&P500の値です。

 

 

 

 

このように景気動向に合わせて金融市場や相場の動向も
大きく変化するわけですが、ウクライナ侵攻に合わせて
円高の傾向が高まっている、いわゆる「リスク回避の円買い」
という現象が発生しています。

 

ロシアによるウクライナ侵攻に対して、西側諸国は経済制裁という形で
協調しているにもかかわらず、このように株価指数が下落したり、
西側諸国の通貨同士でも通貨の価値に大きく明暗が分かれるのは
一体何故なのでしょうか。

 

 

簡単に先に答えを明かすと、これは株式と、円やドルなどの通貨間の
金融資産の性質の違いが金融市場の値動きを発生させています。

 

これらの値動きを解き明かすヒントとして、
「リスクオン」「リスクオフ」という言葉がキーワードなのですが、
一方でこのようなファンダメンタルが金融市場に引き起こす影響について
完璧に理解されているトレーダーはあまり多くないようです。

 

当サイトにも、ファンダメンタル分析やリスクオン・オフに関する
解説の要望が以前より多くリクエストをいただいていますので、
ここからは「リスク回避の円買い」の正体や、世界経済や景気動向が
金融市場に与える一般的な影響について、より詳しく解説していきます。

 

 

 

日本円は金融資産の中でも屈指の安全資産

 

リスクオンとリスクオフが何かについてについて
まずは解説したいと思います。

 

リスクオンとは、例えば金融緩和や好景気の情勢において、
投資家がリスクを負ってでも積極的にリターンを追求しようとして、
株式や高金利通貨などのリスク資産への資金投入が
発生しやすい相場の状態
を指します。

 

コロナの流行後しばらくは人々の行動に制限がかかり、
会社も思ったような経済活動ができませんでしたので、
いわゆるコロナショックと呼ばれる不景気状態となりました。

 

そのため、世界各国の中央銀行は政策金利の引き下げや
量的緩和といった金のバラマキなどの金融緩和政策を打ち出しました。

 

これにより各企業は経済活動のための資金を借りやすくなり、
企業活動や経済活動が促進されました。

 

さらに、そのバラまかれた金は投資家にも入っており
企業活動の促進に合わせて株式への投資傾向を強めました。

 

コロナショックで株価などが暴落した後、
一気に株価は回復していき、最高値を更新したことを
ご存知の方も多いと思います。

 

このように、景気が今後良くなることを見越して投資家が
リスク資産に資金を投入してリターンを狙う情勢を
「リスクオン」と言います。

 

 

反対に、リスクオフとは、逆です。

不景気や世界情勢の不安などによって、今後の世界経済が落ち込む
ことを見越して、投資家がこれまで抱えていた株式や高金利通貨を売却し、
資金を金や日本円、スイスフランなどの資産価値が比較的安定している
安全資産に流す傾向のある相場の雰囲気
を指します。

 

各金融資産の価値が変動しやすい不景気の情勢においては、
リターンの追求よりもリスクの回避による資産価値の安定を、
投資家が好む傾向にあるからです。

 

 

以上が景気動向に合わせた投資家の行動傾向と、リスクオン・リスクオフ
の説明となりますが、ここで説明したリスク資産と安全資産とは
一体何なのでしょうか。

 

一般的に、株式などは、それらの金融資産の価値が今後高まることを見越して
投資家が購入しますが、一方でこれらの金融資産は企業の業績や将来性によって
資産価値が大きく減少するリスクを抱えています。

 

資産価値が上昇して大きくリターンが見込める一方、資産価値が減少し
投資家にとって損失となるリスクも大きいこのような資産を
リスク資産と言います。

 

主に「株式」のことを指します。

 

 

反対に、ドルのような基軸通貨や先進国の債券は、多くの人が利用するため
需要が高く、また生活として利用しているため、金融資産としての
価値が変動しやすいと利用者にとって使いづらくなってしまいますので、
必要に応じて中央銀行が相場に介入するなどで金融資産としての
価値の変動幅が小さい傾向にあります。

 

金融資産としての変動幅が小さい分、投資家としてはこれらの売買による
リターンはあまり見込めませんが、反対に資産価値を安定させるための
リスク回避としての効果
があります。

 

 

このような金融資産を安全資産といいますが、先進国の通貨の中でも
日本円はとりわけ国が平和ということもあってか安全資産として
広く認知
されています。

 

日本は世界でトップクラスに外貨建ての資産を保有している
世界最大の対外債権国ですが、これにより有事の際に売る外貨を多く持っていて
通貨価値が大暴落する可能性が低いとして投資家の間では認知されており、
これによりリスクオフの情勢下においては世界各国の投資家が
こぞってリスク回避を目的に日本円を購入して資産価値の安定化に
走る傾向にあります。

 

ただし、最近は少しその傾向は弱まっている感じもしています。

 

以上が、多くの投資家の間で不景気や有事の際に取り上げられる
「リスク回避の円買い」の所以であり、昨今のウクライナ情勢の際にも
日本円が、その他の通貨ペアと比べても資産価値が下がらず
一時的に買われている理由の一つと言えます。

 

 

 

リスクオン・オフによる金融市場への影響は大きい

 

相場の値動きを発生させる原因はさまざまですが、世界経済や社会情勢による
好景気や不景気への見通しは、ほぼ全ての金融資産の相場に影響を与える
最大のファンダメンタル要素となっています。

 

今回のウクライナ侵攻では、戦争や経済制裁という不安要素によって
景気が落ち込むのではないかという見解の投資家が多いことによって
金融市場全体がリスクオフの雰囲気となっています。

 

そのため、ウクライナ情勢で先行きが不安になるニュースが出ると
リスク回避で株価が売られ、円やスイスフランやドルや金といった
安全資産の方に資金が流れており、
逆に和平などの可能性が感じられるニュースが出ると
リスクオンとなり逆の動きをするといったことを繰り返しています。

 

こうした動きを知っておくことで、何が原因で相場が動いているのか
というのが分かりやすくなり、実際にトレードする際にも
大きく役立つことになります。

 

 

また、今回のケースと似たような例として、新型コロナウイルスが
流行し始めて経済動向の不安要素として認知された際も
同様にリスクオフの雰囲気となりました。

 

新型コロナウイルスの流行時における金融市場の影響については当
サイトで過去に解説しており、リスクオフやリスクオンについても
詳しく解説しておりますのでぜひご覧ください。

 

新型コロナウイルスによる金融市場への影響、神経質な状況はまだまだ続く

 

将来の景気動向を見越したリスクオンやリスクオフの傾向によって
チャートの値動きは大きく変動しますので、テクニカル分析を中心に
トレードをされていたという方も、今回の記事を機に
リスクオフやリスクオン時の金融市場の値動きの特徴を
勉強されてみてはいかがでしょうか?

 

テクニカル分析だけでなく、ファンダメンタル分析を身につけること
によって、トレードの質の向上にきっとつながることでしょう。

 

 

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