円高はいつまで続くのか? FXトレーダーへの影響について

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最近のドル円は円高傾向

 

ドル円は変動相場制が始まって以来、
常にドルが売られ円が買われるという円高基調で推移してきました。

 

2000年代、すなわち21世紀になってからは、
2002年1月135円台が最高値となっており、
以降この価格を上回ることは一度もありません。

 

アベノミクスで円安方向へ進んだドル円相場ですが、
2016年6月125円台まで上昇した後は下降トレンドに入り、
一時は100円を割ってしまうなど円高方向で推移しています。

 

 

 

テクニカル分析でドル円のトレンド状況を探る

 

移動平均線

 

日足でドル円を分析するときに便利なのが移動平均線です。

 

ご存知の通り移動平均線とは、
過去の任意の期間の価格の平均値をチャート上にプロットしラインで結んだものです。

 

過去の値動きの平均値と現在の価格との位置関係からトレンドを推し
測ることができるトレーダーにとっては欠かすことのできない便利なツールですね。

 

 

価格と移動平均線との位置関係だけでなく、
移動平均線の傾きを組み合わせることで
かなり正確なトレンド判定をすることができます。

 

EAのトレンドフィルターとしても採用されていることからわかるように、
その精度の高さはたかがライン1本などと侮ることはできない実力を秘めています。

 

 

私自身もトレンド系のEAを作成する際には必ず使用していますが、
使用した場合としない場合とでは収益曲線の形が大きく違ってきます。

 

トレード回数は若干減少してしまうのですが、
トレンドの方向にエントリーすることが多くなるため
ストップロスにかかるトレードが半減します。

 

 

EAのトレンドフィルターとして使用していると、
機能しやすい移動平均線の期間がなんとなく掴めてきます。

 

私の場合、実際に機能していると感じるのが期間120の移動平均線で
裁量トレードでもよく使用しています。

 

 

この移動平均線を日足のチャートに表示して大まかなトレンドを把握しておくと、
いざエントリーしようとした場合に間違いを起こす可能性が減少します。

 

移動平均線は数種類あるのですが、
私が使用している移動平均線は「指数平滑移動平均線(EMA)」で、
一般的に使用されている単純移動平均線よりも反応が敏感なのが特徴です。

 

 

日足チャートに120日線と50日線2本のラインを同時に表示しています。

 

価格と2本の移動平均線の位置関係から売買戦略を導き出していくことになります。

 

移動平均線の期間に関しては通貨やトレードスタイルによっても変わってきますので、
自分にぴったりの期間を見つけ出してみてください。

 

 

それでは、過去チャートを振り返ってみましょう。

 

 

20160723A

 

 

50日線と120日線の位置関係に注目すると、50日線(黄色のライン)が上、
120日線(赤いライン)が下にあることがわかると思います。

 

この状態の時は上昇トレンドと判断することが出来るので、
ロングエントリーだけを狙っていくことになります。

 

この2本のラインの間隔が離れているほど、強いトレンドで、
逆に2本が接近しているとトレンドが弱まっていると判断することが出来ます。

 

 

トレンドの強弱は移動平均線の傾きでも判断することが出来ます。

 

傾きが急なほどトレンドは強く、
傾きが水平に近いほどトレンドが弱まっていると言えると思います。

 

また2本のラインが同時に同じ方向に傾いている場合の方がより信頼度が高いと言えます。

 

 

ドル円の場合、価格が50日線にタッチしたら反発することが多いので、
その付近をエントリーポイント(青い丸印)として網を張っておくといいでしょう

 

下降トレンドの場合は上昇トレンドと位置関係が逆になり、50日線が下
120日線が上の状態で価格が50日線にタッチしたら
ショートエントリーすることになります。

 

以上を踏まえて最近のドル円の日足チャートを見ていきましょう。

 

 

20160723B

 

 

50日線と120日線の位置関係から、
2014年の夏付近から明確な上昇トレンドが発生しているのがわかると思います。

 

この上昇トレンドは途中弱くなるものの2015年の夏まで緩やかに続いていきます。

 

その後2本の移動平均線は交錯するようになり、
方向性のはっきりとしない相場が2015年の12月まで続いていきます。

 

トレンド系のEAがもっとも苦手とする局面といえるかもしれませんね。

 

 

2016年1月からは、下降トレンドに入っていきます。

 

2本の移動平均線はともに下を向いており、50日線が120日線の下にあるので
テクニカル的に見てもきれいな下降トレンドと言ってもいいでしょう。

 

下降トレンドに入ってから何度か移動平均線に頭を抑えられており、
絶好の売り場スポットが出現しています。

 

 

オーバーシュートしてしまうこともあるので
ストップロスの設定が難しいところではありますが、
こうしたチャンスをうまく捉えることが出来た人は
損小利大のトレードが得意な人なのでしょう。

 

現時点では依然として50日線が120日線の下にあるので
下降トレンド継続中とみていいのかもしれませんが、
2本の移動平均線の傾きに注目すると120日線は下を向いているのに対し、
50日線が上を向き始めていることに気付くと思います。

 

価格が50日線の上にある状況なので、
総合的に見ると下降トレンドが弱まってきている状況と言えるのではないでしょうか。

 

 

 

一目均衡表

 

大きなトレンドを見るのに適している一目均衡表の場合はどうでしょう。

 

 

20160723C

 

 

一目均衡表を見ても2016年の1月から
下降トレンドに入っているのがはっきりとわかります。

 

2016年初頭から、価格が雲の下に入り転換線が基準線の下にある状況が長く続いており、
明確な下降トレンドを形成しているのが見てとれます。

 

 

途中で何度か上方向へアタックするのですが、
最終的には雲に抑えつけられて下降していきます。

 

遅行スパンも価格を抜けることが出来ない状態です。

 

しかし、転換線と基準線の関係を見ると好転しているので、
今後価格が転換線や基準線でサポートされるようなことになると
しばらく揉み合うような状況になるのかもしれません。

 

 

 

下降チャネル

 

ドル円は2016年から下降チャネルを形成しています。

 

 

20160723D

 

 

現在の価格はチャネルの上値抵抗線付近に位置していますが、
下落のタイミングをうかがっているかのように見えます。

 

上値抵抗線の位置と一目均衡表の雲の位置がほぼ一致していることから見ると
かなり強力な抵抗線と見て良さそうです。

 

 

20160723E

 

 

ドル円が上昇するためには、まずこの上値抵抗線をブレイクする必要があります。

 

 

 

100円付近の強力なサポートライン

 

ドル円のサポートを見るとやはりもっとも強力なのが100円付近の価格帯です。

 

 

20160723F

 

 

100円は節目の価格であり、
過去のチャートを見てもこの付近でもみ合う場合が多くなっています。

 

さらに2011年につけたドル円の最安値75円から
直近の高値である125円に対する半値戻しが100円付近となっています。

 

 

欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う
イギリスの国民投票の結果を受けてポンド円が暴落した際も、
この価格帯を突破することが出来なかったことで、
かなり強固なサポートになっていると考えられます。

 

今後、ドル円が下方向へ行くためには、このサポートをブレイクする必要がありますが、
かなり強力なので相当インパクトの強いニュースや
政策などの後押しが必要になってくるでしょう。

 

 

 

リスク回避の円買い

 

世界経済の先行き不安や地政学的リスクが高まってくると、
円高ドル安になる傾向があります。

 

これは投資家たちが株式や新興国通貨などのリスクの大きな資産を手放して、
比較的安定性の高い円を買う動きが高まるためです。

 

 

一昔前までは「有事のドル買い」という言葉があったように、
リスクが高まるとドルを買う動きが顕著だったのですが、
同時多発テロの発生を契機にドルが安全であるという認識が薄まってきているようです。

 

 

この結果、リスクオフの局面ではドルが売られ円が買われるという結果になり、
円高が進行することが多くなってきました。

 

「有事のドル買い」から「有事の円買い」にシフトしてしまったわけですね。

 

ドル円は構造的に円高に振れやすい性質を持つのですが、
リスクオフの状況になるとさらに円高の進行に拍車がかかるようになります。

 

誰でもお金は安心できるところに置いておきたいですからね。

 

 

 

円高はいつまで続く?

 

テクニカル分析的に見るといまだに下降トレンド継続中ですが、
今後も円高は継続していくのでしょうか?

 

FXトレーダーはめまぐるしく変わる状況に対応していく必要がありますが、
イギリスのEU離脱など予想に反したニュースが舞い込んでくると
急速に円高に進む可能性があります。

 

 

最近ではトルコ軍によるクーデーターというビッグニュースがありましたが、
休日での出来事だったことや終息が早かったことにより、
マーケットに与えた影響は限定的でした。

 

しかし、もしこのニュースが平日の欧州時間に入ってきたとしたら、
マーケットの混乱は相当なものだったでしょう。

 

 

市場参加者の間では、7月28、29日に開かれる日銀の金融政策決定会合で、
ヘリコプターマネーが実施されるという期待感があり、
相場では円売りが意識されています。

 

先日、日銀の黒田総裁
ヘリコプターマネーの導入を否定したと報道された直後に円が買われたのですが、
その後6月半ばのインタビューだったことが判明し値を戻しています。

 

この時の値動きからもヘリコプターマネーが材料として
相当に意識されていることがわかります。

 

 

金融政策決定会合においてヘリコプターマネーが否定された場合、
もしくはヘリコプターマネーに代わる金融政策を打ち出さなかった場合には、
一時的な円買いの材料としては十分といってもいいでしょう。

 

100円のサポートラインをブレイクできれば一気に円高に向かうし、
出来なければしばらくはもみ合いが続きそうです。

 

逆に禁じ手ともいえるヘリコプターマネーという劇薬を投与してきた場合には
大きく円安方向に振れることになりそうです。

 

ここには強力な上値抵抗線が控えていますが、
ここをブレイクするような事態になれば一気に円安方向に進んでいく可能性もあります。

 

 

テクニカル面だけを見ると、
100円付近のサポートラインと上値抵抗線が交わる2016年10月までは、
もみ合いが続くのではないかと思います。

 

この間に米国の利上げなどインパクトの大きいニュースがあれば別ですが、
何もなければ100円から105円の範囲で推移していくのではないでしょうか。

 

ただし、サポートラインと上値抵抗線が強力なだけに、
このレベルをブレイクした場合には一方向に大きく動く可能性が高くなります。

 

FXトレーダーは大きく走り出した時に備えて
リスク管理を徹底して相場に臨む必要があるでしょう。

 

 

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